私個人の練習方法の “大まかな” 流れをメモしてみようかなと思います。
今後変わっていくこともあると思いますが、それも後から見返したときに自身の参考になる箇所もあるかなと…。
音大出身でもなければ、子どもの頃に音楽の勉強を専門的にしてきたわけでもなく…、大人になってからアコーディオンを全くのゼロから趣味として始めた私の練習方法です。
いくつかの項目に分けて書いていきます。
- 練習のはじめに毎回すること
- 新しい曲に取り組むときの流れ
- 1曲だけを仕上げる場合の流れ(発表会など)
- 複数の曲を仕上げる場合の流れ(演奏など)
上記のうち、この記事では 前の2つについて書き、あとの2つは次の記事で書こうと思います。
練習のはじめに毎回すること
時間がないとき以外は、曲の練習に入る前に 毎回 次のようなことをしています。
すべて、過去に自分が取り組んだ曲から、それぞれ一部分を抜粋したものです。
- スタッカート(ミュゼットワルツ曲の一部分)
… スタッカートの練習 - 十六分音符(タンゴ曲のバリエーション部分)
… 指の運動 - 2ビート(ツービート曲のラスト部分)
… リズムの意識 - ベローシェイク(3拍子の曲、4拍子の曲からそれぞれ/大きい楽器で練習するとき)
… ベローシェイクの感覚を忘れないために
本来はアコーディオン教本等の「練習 No.○」をする方が効果的だろうとも思いつつ…、楽しく練習を継続するために、また、過去に取り組んだ曲を忘れないためにも 一石二鳥ということで(!?)、私はこうしています。
いずれにしても、練習の前に毎回する自分なりの一連の流れ=ルーティーンがあると、アコ以外のことをしていた時からの頭の切替えになったり、どこかで演奏をするときにも これをすると少しは気分が落ち着くような気分にもなり、良いかなぁと思っています。
新しい曲に取り組むときの流れ
おおまかには、次のような流れです。
特に後半は 行ったり来たりしながら進めていくので、常にこの順番というわけではありません。
- 1)譜読み(ほぼ音符のみ)
- 2)とりあえず最初から最後まで「だいたい」弾けるようにする
- 3)ざっくり暗譜(完璧でなくてOK)
- 4)譜読み
- 5)リズムや奏法などを意識
- 6)細かく具体的に練習
- 7)曲想
- 8)暗譜
ここから少し詳しく書いてみます。
今回は 練習の“流れ”を書いていくので、細かい練習方法には殆ど触れません。練習方法についてはまた別の機会に。
譜読み(ほぼ音符のみ)
ここでの譜読みは、細かい点は置いておいて、とりあえず次のステップの〈2.最初から最後まで楽譜に記載されている “音符”の音を出せるようにする〉ために、この段階で、音を出しながら以下のことも考えて、楽譜に書き込みます。
- 運指を決める
- 蛇腹の返しを決める(4小節か2小節)
※ 弾くときは、毎回 同じ運指や蛇腹の返しにします。ただ、ここで決めたことは絶対というわけでは全くなく、特に運指は、弾いていくうちに別の弾きやすい運指が見付かれば変えていきます。
私のイメージでは…
本など文章を読む感じに例えると、 “文章”や “言葉”の意味が分からなくても構わないので、とりあえず書いてある “文字”を声に出して 最初から最後まで音読できるようにするために、句読点やフリガナをふっておく感覚です。
とりあえず最初から最後まで「だいたい」弾けるようにする
細かい注意点は置いといて、とりあえず楽譜に記載されている音符を譜面どおりに、最初から最後まで通して「だいたい」弾けるようにします。
できるだけスムーズに指が動くようにしたいので、この段階では、練習の “質”より “量(弾く回数)”の比重の方が大きく、何度も何度も弾きます。
ここではそれが目的なので、音符以外で譜面に書いてある細かいこと、たとえばクレッシェンドやf(フォルテ)・p(ピアノ)等々は、殆ど意識していません。
本を読むときに「この文字の形は “む”という文字で、これは “か”、これは “し”と読む!」と “文字”については考えながら読まないので、意味は分からなくても「むかし むかし あるところに」と通して読めるようにする感じです。
子どもの頃の学校の授業で、英文や古文を、とりあえず 殆ど止まらずに音読できるようにしている感覚にも似ているかなと思います。
…たとえ意味が分からなくても、すらすら音読できるようになるだけでも、なんとなくできたような気分になって楽しくありませんでしたか?!
こうして何回も弾いていくと、弾ける部分が少しずつ増えていき、逆に弾けない部分が目立ってきたり、止まってしまう箇所がいつも同じだったりと、自分の苦手なところも分かってきたりします。運指なども見直して、とりあえず譜面の音符どおりに指が動くようにします。
もし「ここはこう弾きたいなぁ」と思い付いたときは、そういうふうに弾いてみたり、そこまで意識すると逆に弾けなくなってしまう場合は後々に思い出せるようにメモしておきます。
思うように指が動かなかったり、イマイチ曲の全容が分からず、気分が下がってしまう場合ありますが、そのときは “こう弾けたらきっと楽しいだろうなぁ!”と想像してみたり、全く知らない曲であれば、本を読むときのように “次はどんな展開かな?!”と、自分なりに楽しくしながら進めていきます。
ざっくり暗譜(完璧でなくてOK)
だいたい通して弾けるようになったら、比較的に暗譜しやすそうな箇所や 好きなフレーズから、ざっくり暗譜していきます。
この段階での暗譜は、完璧でなくても構いません。というのも、これ以降の練習では、また譜面を見ながら練習するからです。
では、なぜここで一度暗譜をしておくのか?
それは、この後の練習のときには「音符を追う」ことへの意識をできるだけ減らし、他のことに より意識を向けて練習できるようにするためです。
“譜読み”の項目で書いたことと重複しますが、文章を読むときに「この文字の形は“む”という文字で、これは“か”、これは“し”」と考えながら読んでいると、先ずは文字を追うことを意識しなければならず、それ以外の文章の意味などについて考えたり想いを巡らせられる意識の比重が少し減ってしまいますよね?
ですので、この後の練習のときに、できるだけ文字“だけ”を追う比重を少なくし、他のことを意識できるようにするために、このあたりで一旦ざっくり暗譜しておきます。
おそらくですが、ダンサーさんは振付を、役者さんは台詞を覚えないことには、細かいことに意識を向けられなさそうです。 いつも「次はどんな動き振付・台詞だったっけ?」ということで頭がいっぱいの状態で踊ったり演じたりするよりも、「ここはこういう技を使って踊ったらカッコイイ!ここはこういうふうな気持ちで芝居をしたい」などを考えることに比重を置いて練習できると、より良い作品ができそうですし、自分自身も練習がさらに楽しくなりそうです!
そのような練習をするための下準備のひとつとして、一旦だいたい覚える(暗譜する)んです。
ちなみに…、暗譜しにくいところを暗譜しようとすることで、より弾きやすい運指が考えられたり、前後の音やフレーズとの関係や特徴(似ている箇所や違い)が分かったりすることもあり、弾きやすくなることもあります!
私自身が生徒として受けているレッスンでも、たびたび私の先生は「技術はゆとりから生まれる」と仰います。
まさにそう感じますし、また、他のことに意識を向けられると、より練習も楽しくなってきます!そのためにここで一旦暗譜しておけると良いと思っています。
細かく譜読み
譜面に記載されている音符以外の記号なども見ていきます。
音の強弱やその変化(f,p,< , >等々)、速さやその変化(rit 等々)、イメージの記号(dolce等々)などです。
リズムや奏法などを意識
音符が追えてリズムがきちんととれると、とりあえず聴き手にはどのような曲かは伝わるので、リズムを整える練習は随所に入れます。
またもや私のイメージでは…
たとえば、「む かっしーあ るぅとこ ろ にぃぃぃおじ いーさん と…」と言っても、聞いている人は分かりません。ですから、これを正しい間隔にして「むかし、あるところに お爺さんと…」と言うようにする感覚です。
また、せっかく「アコーディオン」という楽器で弾いているので、その特性も活かせたら楽しいですよね。「ここの部分には どの奏法を当てはめたら、より面白く、きれいに聴こえるかな」と考えて、練習していきます。
このあたりは、練習の “量(回数や時間)“よりも、”質(意識)“ の比重が高いです。
細かく具体的に練習
今回は 練習の “流れ”に焦点をあてているので、このあたりの細かい練習 “方法“などは割愛します。
曲想
暗譜
ひとこと
今回は、〈練習の流れ:その1〉として、『練習のはじめに毎回すること』と『新しい曲に取り組むときの流れ』について書いてみました。
毎回必ずこの順番で!と決めているわけではなく、行ったり来たりしながら練習していますが、思い返してみると大まかにこのような流れです。
今回はあくまで練習の流れに焦点をあてているので、具体的な練習方法は取り上げませんでしたが、少しだけ触れると、基本的にはどの段階でも「ゆっくり」「大きな音で」練習しています。こうすると、誤魔化しがきかなくなり、この状態できちんと弾ければ、速くしても小さくしても綺麗に弾けるようになっているように思います。
次の記事で、〈練習の流れ:その2〉として、『1曲だけを仕上げる場合(発表会など)』と『複数の曲を仕上げる場合(演奏など)』の 「練習の流れ」を書く予定です。
♪おまけ)レッスンでは…
レッスンでは上記の流れとは限りません。個々人のそのときの状況に合わせて、私なりに適格と思われるタイミングで各段階を織り交ぜたり、行ったり来たりしながら進めています。
たとえば、新しい曲はワクワクする一方で、大まかな曲の感じを掴めるまで(ざっくりの譜読み~とりあえず最後まで弾ける状態になるまで)けっこう時間も忍耐も必要なこともあって、譜読みの途中で気分が下がってしまうこともあります。
そんなふうに譜読みが苦手な方は、ちょっとしたコツをお伝えしたり楽しみを見つけながら、一緒に譜読みから進めていきます。
また、すいすいと譜読みを進めることができる方には、ご自身でできることはご自身で進めていただき、レッスンでは 上記で書いた流れのうち、後半部分により重心を置きます。
以前に 奏法についての記事でも少し書いたように、私のレッスンは「型(かたち)」で進めていくことが多いので、奏法やリズムをベースにした内容です。もちろん、練習方法をはじめ、自分でやっているつもりのコトが 客観的にはうまく伝わっていない場合もあるので、そうしたコトなどもお伝えしています。
せっかく対面でのレッスンにいらしてくださっているので、おひとりおひとりに合わせて、できるだけその方ご自身だけでは難しそうだったり触れなさそうなこと、対面でないとお伝えするのが難しいことなど、またそれらを楽しみながら取り組んでいただけるレッスンができるよう、私自身も心掛けています。
受講者さんの声
レッスンの合間などに、ふと受講者さんが仰ってくださったコト(そして私がちょっと嬉しかったコト!)です。
レッスンを受けないで ひとりでアコーディオンを弾いていたら、きっと、昔に弾いた曲や やさしい曲ばかりを弾いて、新しい曲に挑戦してみようと思わなかった。
レッスンで提示される曲は、いつも最初は「えーっ、こんな難しそうな曲はムリ…!」と思うけれど、レッスンでやっていくうちに最終的に弾けるようになっていて、「まだまだ私も挑戦できるんだ!」と感じることができた。
リズムやジャバラの返しなどは、自分でやっているだけだと なかなか分からなくて、自分で気付けない。だからレッスンに来ている。
今まで趣味で弾いてきたので、どんな曲も譜面を見ればだいたい弾くことはできる。でも、ずっと自分の弾きやすいように弾いてきたので、運指(指使い)やリズムなどを意識したことがなかった。だから体験レッスンで、基本的なことをやったときに、自分に足りなかったのはこういうことだと思って、レッスンを受講し始めた。
レッスンがなければ、たぶん練習しない(笑) レッスンがあるから、それまでにレッスンでやったことをやらなくちゃ!と思って、家で練習できる。
ミュゼット曲を弾いてみたくてレッスンに通い始めたけど、レッスンでいろいろな曲に触れて、アコーディオンが こんなにいろいろなジャンルの曲が合うとは思わなかった。タンゴの曲もカッコイイし、マーチも弾いていて楽しい!
今は、ミュゼットの他にも、いろいろなリズムの曲をレッスンでやっていきたい!
ほかにも、”ふと” 受講者の皆さんが仰ってくださったことはありますが、今回はこのあたりで…。
ふと仰ってくださった言葉は、ひとつひとつが私のなかでとても大事で、励みもなっています。いつもありがとうございます!
先ほども少し書きましたが、わざわざ足を運んでレッスンにいらしてくださっていることを有難く感じ、私も おひとりおひとりに合わせて、対面や個人レッスンならではのレッスンができるよう心掛けています。
*貴重なお時間のなかでご受講くださる皆さまにとって、生活の中の楽しみのひとつになるような、やりがいの感じられるレッスンができるよう、ひきつづき私自身も精進してまいります。
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